埋もれ木

http://www.oguri.info/movie/umoregi/
この映画、なんと言い表したらいいのだろうか。小栗康平監督作品は、20年も前に「伽や子のために」を岩波ホールで何回も観て以来となる。
あらすじや物語を追いながら観ようとすると、理解できない。でも、断片的な物語を観ていると考えると不思議な気分になり、なぜか(ほんとに)、ふんわりした気持ちになった。その気持ちは、すぐに渋谷の雑踏に消されてしまったのだが。
正直、いい映画です。僕適には好きな映画です。映像がいいし、映像の流れがいい。物語の流れを理解できなかったのにもかかわらず、です。
今は、関東では渋谷のシネマライズでしか上映されていないのが残念。
以下は、パンフからの引用。小栗康平・記(公式サイトでは、監督からのメッセージとして記載されています)
ながい文章ですが、この映画を的確にいいあらわしているので転記します。

「画像は感覚に訴える。言葉と比べればもともと論理性を優先していない。
その分だけ、見る人の印象といったところへまぎれて、なにがいいのか悪いのかを、私たちは確かめ合えないでいる。
画像の中心がTVに移り、映画の商業性ばかりが強調されていくと、映像はどうしても分かりやすいものへと流れがちになる。
幼児はまず絵本から表現に触れ、親しむ。やがてそこに言葉が入ってくる。
言葉以前に私たちはイメージで世界を見ているといっても過言ではない。
だとすれば、いのちのその最も根本に関るイメージが、人為的に作られた画像というものにとって替わられることについて、私たちはもっと慎重でなければならない。
『埋もれ木』では、見えていることと、見ようとしていることが、ないまぜになっている。
結果として、映画にある程度の抽象性が入ることを避けられなくなった。
もしかしたらそれが観客にうとまれることがあるかもしれないと思う。
でもそれでもなお、一人でも多くの人にこうした作品に触れてほしいと、願うのです。」

こういう映画に出会えるとうれしくなる。
観る人には、最後まで眠らずにしっかり観てほしい。
去年から日本映画をよく観るようになったが、僕の観た日本映画には、よく浅野忠信がでてくるな。
ちなみに去年観た映画:「茶の味」、「誰も知らない」、「珈琲時光」、「モーターサイクルダイアリーズ」、「下妻物語」、「犬猫」、「フォッグオブウォー」、「サーバイブスタイル5」、「靴に恋して」、「オールドボーイ」、「揮発性の女」、「インストール」、「ジャムフィルムズ」など。