太陽

昭和天皇を描いた映画。
正直、日本ではまず製作されない映画。監督アレクサンドル・ソクーロフ。emperorは尾形イッセー。
この映画は、あくまで創造された作品、ストーリーとして観るのが一番の見方だろうと思う。ノンフィクションとするには、あまりに無理があるし、史実に基づいてというのでも、大きく無理があると思う。
物語は、終戦直前の天皇から始まり、戦後人間宣言された後の天皇で終わる。その間、ひたする天皇のみを描き、節目となる史実は一切でてこない。節目のない反物の絵巻のよう。ひたすら淡々と心の描写を試みている。


尾形イッセーの演技は、在りし日の天皇を過剰に意識したかのような演技とは感じたが、見終わった後はその演技でしか、語れないものなのだとも思った。デフォルメすることで、神を演じることができたとでもいおうか。


この映画は、日本では作りえない。そういう意味で貴重な映画。監督の創造を肯定するものではない。日本で作ったなら、まったく同じシナリオで作ったとしても、まったく違った映像になる。


映像化不可能なテーマを取り扱っているこの映画は、一見の価値あり。
このような映画が横浜で見れるというのがとても素晴らしい。