アジアの女

eiei322006-10-14

新国立劇場 小劇場にて観劇。作・演出=長塚圭史、キャスト=富田靖子近藤芳正菅原永二峯村リエ岩松了
ものがたり

近未来の東京。震災に見舞われ都市機能は麻痺し、人々は混乱している。
まちの片隅でひっそり暮らす兄妹がいた。(以下略)

2時間の演劇、最後まで見終わったとき、物語の構成と「アジアの女」と題した意図が見えてくる。途中までは、せりふが不快に思うものがあった。しかし、演劇であるからこそ言えるせりふでもあると思う。
とても力作だと思う。とくに、脚本がすばらしい。創造力の強さが伝わってくる。全体として重いトーンではあるが、伝えるメッセージからするとそれはなんてことはない。そして、良い行為は良い結果にはつながらないという結末もわかる。見終わった後、いろいろと創造を働かせて振り返ることができる作品だ。

この作品の舞台は、観客席と観客席とをはさんだ中央に作られている。最前席とほぼ同じ高さの舞台。さらに、客席の中央に舞台への通りが設けられている。俯瞰してみるとT字型の舞台である。とても、俳優が近く、また2時間という短い時間での劇であったことが、より作品のテーマを勢いよくぶつけられた感じがした。