鈴木敬子とアントニオ・カナーレスの共演

15日、13時30分、昼間からのスタジオ・ライブ。
場所は、代々木のカデーナ・フラメンカ。

14日、15日、16日の3日間17時開演の他に設定された追加公演。

この公演を知ったのは、池袋のスタジオで知人から聞かされてだ。
真夏の夜のフラメンコで今年もカナーレスが来日し出演しているのは知っていたし、見に行く。
でも、其れ以外にあるとは思ってもいなかった。
パセオ・フラメンコに鈴木敬子さんトップ記事の中に記載があるのを最近読み返して気がついた。
もっと早く知っておけば、とちょっと悔やまれた。
そして、この公演を観た跡、その気持ちはもっと大きくなった。

とても素晴らしいものを感じた公演だった。

話を聞いてその日のうちにカデーナ・フラメンカで公演を確認した。すでにチケは売り切れだが追加公演のみまだ手に入った。
8,000円のチケット。ほんのわずかでもカナーレスが見られるのなら、高くはない。

正直、昼からの公演、しかも前日夜に一度行われている。
アントニオ・カナーレスは特別友情出演とある。
これを見て、実はあまり踊らないのではないかと、あまり期待していなかった。
ところがである。
開演前のプログラムを見て、えっ、と驚いた。
こんなに見れるのか!

プログラム
1.Jaleo
  鈴木敬子・カナーレス
2.Solea por Bulerias
  カデーナ・フラメンカ
3.Alegrias
  鈴木敬子
4.Musical

5.Solea
  鈴木敬子
6.Siguiriya
  カナーレス
7.Tango
  鈴木敬子・カナーレス

スタジオ席は75席。座った席は、4列目あたりの真ん中。足元は見えないけど、近い。ステージまで3mと離れていない。
時間ちょうどに開演。ミゲル・デ・バダホス、鈴木敬子、カナーレス、エル・プラテアオの4人が揃って舞台袖から出てくる。
でかい、し、かっこいい。
プラテアオが歌いカナーレスが横に、そしてバダホスが歌いカナーレスが横に。
始まった。
そして、鈴木敬子。
カッコイイし素敵だ。
(初めて生で見る。セビのビデオでしか知らなかった。)

そしてカナーレス。
カーキ色の首元まで詰めてあるジャケット。渋いし、おしゃれ。
うわぁ、でかいじゃん。
こんな距離で見れるなんて幸せ。
始まりのハレオからもう興奮!ヤバイ

ソレア・ポル・ブレリアは、カデーナの4人の方の踊り。
アレグリアスでは、衣装を替えて鈴木敬子のソロ。
音楽を挟んで、衣装を替えて鈴木敬子のソレアと続く。
このアレグリとソレアでも圧巻なんだ。

いよいよ、アントニオ・カナーレス。
去年の真夏の夜のフラメンコ。アントニオはシギリージャを踊った。野音のステージで。
あの時は、一番後ろの席からオペラグラス越しにがっつり観た。
それが、目の前でまた観れる。驚きだ。

シギリージャ
アントニオが衣装を替えて舞台袖から出てくる。
一番前の席からは、舞台袖の裏で、十字を切り祈りをしているかのようなアントニオの姿が見えたらしい。
私の席からは、袖裏の気配は感じるが見えなかった。

ハレオの時とは一転した表情。
彼はこのスタジオにはいるが、目の前に多くの観客がいるが、その彼の踊りには、目の前の客は見えていない。
彼の世界の何か、が見えていて、それを前に踊る。
そう感じた。
何を見ているのだろう、果てのない世界か、それとも祈りの姿か、自分自身か。
踊りは、アントニオの踊り。しかし、彼の踊りから感じるものはなんだろう。
シギリージャの踊りの中で、一瞬のすごい世界を垣間見せてくれた、そんなような気がした。

最後は、タンゴ。
アントニオが出てきた時には、シギリージャでの表情とは一転、にこやか、爽やかである。
鈴木敬子さんと踊るアントニオ、いい、楽しい。

あっという間の90分。
とてもよかった。

11月29日に高円寺で鈴木敬子フラメンコライブがある。見てみたい気になった。

ギターは、高橋紀博、ICCOU
パーカッションは、海沼正利