僕たちの好きだった革命


60年、70年の学生運動について考えてみるつもりはない。振り返るものでもない。学生運動と聞いて「ラジオ体操みたいなものですか?」という反応がいくつも返ってくる。今はもう、そういうものなのだろう。


あの時代を語る人が少ないという。あれだけ熱い時代が急にさめたとも。この劇では、政治的なものも、安保についても触れていない。記憶として描かれるのは、熱かった学生運動。当時の映像やフォークソングが流れるが、その時代をまったく描かない。ここで描かれるのは、1999年の文化祭。
そして、そこに熱くない1999年の高校生に、1969年の高校生、山崎が、熱く、未来を信じようということ伝える。


熱くなれよという、鴻上のメッセージなのか。それとも、ほかにもメッセージはちりばめられているのか。
「人生のテーマは何だ」山崎は、かつての同級生に語りかける。子どもが無事大人に成長してくれればいい。それだけなのか?それが、人生を生きているテーマなのか。この問いかけは、重い。


面白い、笑える、楽しい、おかしい、共感できる、そのぎゃぐいい、という、素敵な劇。そこから繰り出されるメッセージは、観劇の空間において、俳優と観客が共有できる。あつくなれる劇。


未来を信じる。その信じる未来は、人それぞれだ。そして、演じている俳優も信じる未来をもって舞台に立っている。だから、観ている僕も、未来をもって、信じて、頑張ってみようか、なんて気になる。